この終わりなき片付けとの格闘記。

ニチアサ感想や日々思ったことを綴っていきます。

仮面ライダーエグゼイド 第37話&第38話 感想 ほか

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辿り巡り目指したもの

 

今回は2話分まとめて書きます!鏡飛彩サーガ完結編としてたいへん綺麗にまとまっていて素晴らしかったと思う エグゼイドにおいて主人公たる永夢が結構迷いのないキャラクターなので2号ライダーである飛彩は対照的に迷いに迷うキャラクターとして描かれてたのかなぁとか、そんなことを考えたここ数話でした

最後の方に春映画ネタバレを含む与太話が載ってるので観てない人は注意

 

第37話「White knightの覚悟!」

2号ライダー最強フォームのお披露目回は(その2号ライダーの)因縁の敵と決着を付けたりといった最高にカッコいい描かれ方をするのが普通だと思ってたんですけどなんとも苦いデビューを果たしてしまったレガシーゲーマー。なんと初変身時は依然として敵サイド。レベル99のパラドクスを叩きのめしてて初陣としては見事だったし第29話(パーフェクトノックアウトゲーマー初登場回)のリベンジを果たしてるっちゃ果たしてるんだけどパラドを失っては困る状況だけにどうしても複雑な心境になってしまうところから飛彩の物語の完結編は動き出す。

今回のゲーム病患者は飛彩の元カノ・小姫のお父さん。飛彩、飛彩パパ、大我、小姫パパと小姫一人のために命懸ける男が多すぎる…カイデンはエグゼイドがあっさり倒しちゃったので小姫パパはすぐに退院したわけだがもう少し掘り下げても良かった気もする せめて飛彩と顔合わせるシーンくらいはあってもよかったかと。

「過去の亡霊に縛られた哀れな男め」

小姫の記憶を持つグラファイトが飛彩に言い放つ。大我を「ゲームに取り憑かれた哀れな男」と貶した飛彩にも遂に「哀れな男」の烙印が押されてしまいましたが、対する飛彩の反応はこうです「探す手間が省けたな…」。哀れな男たちは、哀れに思われることなど意に介さない。仮面ライダーたちはなぜ「哀れな男」扱いされてしまうのか。それは彼らに譲れないものがあるからです。負けたら死ぬゲームに積極的に参加するなんて普通に考えたらイカれてるに決まってます。誰になんと言われようが信じるもののために戦う。誰を敵に回そうと—

 

ポピ「貴方が持ってるライダークロニクルはもともと黎斗が開発したものよ。だからCRで預からせてもらう」

正宗「断る。仮面ライダークロニクルの著作権は幻夢コーポレーションにある」

 永夢「だったら力尽くで奪う!」

何かと理屈っぽいけど最初から話し合いで解決する気ゼロで笑ってしまうw 久々に仮面ライダーポッピーが出てきて嬉しかったけどバグスターの力を抑制するレベル0が2人もいる環境でレベルXでやっていくのはもうだいぶ厳しい気がするしポッピーは仮面ライダーというよりガシャコンバグヴァイザーIIの管理者って立場で捉えるべきかも

グラファイトに敗れ崩れ落ちる大我。レベル50とレベル99の差は埋めようがないと悟ったのか、「全てのバグスターウイルスを滅ぼす」と言っていた頃の威勢のいい彼の姿はなく、縁起でもないことを言い出す始末。「やめてよ、過去形とかマジで…」ニコの悲痛な叫びがリアルで心にくる。非常にショッキングなシーンだけど、冷静に状況を見てみると下級バグスターもレベル60にまで進化してきた今、ゲーマドライバーのスロットが塞がったままレベル50から発展の余地の無い大我はもはや戦力と呼べる状態ではないので、物語的には新檀黎斗が大我用にレベルの高いガシャットを開発してやるのが自然だと思うのだが…夏映画ビジュアルのスナイプはレベル50止まりなんだよね…しばらくは病床に伏すようだから戦線からは一時離脱という形になりましたが(黎斗としても病人のために新しいガシャット作るほどの余裕は無いのかも)、やっぱりグラファイトとはちゃんと決着つけなきゃなんないと思うのよ…早く戻ってきてくれ…

 

 

第38話「涙のperiod」

レガシーゲーマーが本当に輝くのはここから! 重症の大我を目の前に何もできず立ち去ってしまった飛彩の行動は仕方なかったとはいえ勇者とは程遠いものだったのでそこからの挽回のカタルシスが最高でしたね 本当に覚悟が決まったのはこの回なのでここでレガシー初登場でも良かったような気も

貴利矢「なんか腹立つな…あんたと意見が合うなんて」

基本ギスギスしてるけどなんだかんだいいコンビの復活バグスター組。この2人のこういう関係凄くいいのでどんどんやってほしい 貴利矢と黎斗って最初から仲悪かったわけじゃないと思うんですよね。まだみんなレベル3くらいだった頃は乗り物対決(チャリvsバイク)のあと変身解除して普通におしゃべりしたりしてたし…そういえば特に触れられてない気がしますが貴利矢も99回のコンティニューできるんですかね 時間稼ぎのために20も残機減らした新檀黎斗は普通にイケメンだと思った データの体だから自由に移動できるバグスターほんと便利だな

小姫を人質に取られて永夢が変身できなくなってしまう場面は間違いなくブレイブ初登場回であった第2話「天才二人はno thank you?」を意識してた。第2話の展開を思い出してみると、

アランブラとエグゼイドの戦闘中、アランブラは感染者の婚約者を人質に取り「レベルアップしたらこの女は死ぬ」とエグゼイドを脅す。そこに現れた飛彩は「患者に情が移って執刀の決断が鈍るなどドクター失格」と言い放ちためらうことなくブレイブ・レベル2に変身。人質は殺されそうになるものの、術式が発動する前にアランブラはブレイブのメス(ガシャコンソード)に捉えられてしまうのでした。

今回(第38話)のボロボロになった永夢の元に飛彩が駆けつけ変身するまでの流れは第2話の描写の再現だが決定的に違うところは「飛彩は人質(小姫のデータ)を救えなかった(救わなかった)」ということ、しかし「目の前の命を失うことなど絶対にしない」の言葉通り、あくまでドクターとしての使命に忠実であろうとした。

仮面ライダークロニクル発売直後に待機命令が下された時など、絶えず「ドクターの資格」について考えていた飛彩。「世界で一番のドクターになって」という恋人との約束、いくら腕がいいとはいえまだ若い飛彩はその答えに辿り着くまでブレにブレまくりました。「最優先すべきはいつだって患者の命」という信念を曲げない永夢やガシャットにしか興味が無い大我と幾度となく衝突し、時に敗北を喫することで自分の信じてきたドクター像が揺らぐ。しまいには悪の親玉の言いなりにまでなってまで自らの望みを果たそうとしましたが、無事に辿り着くべきところに辿り着いてくれてよかった。小姫のデータを今にも消そうとする正宗を止めようとする永夢を「研修医!」と制止する飛彩にもう未練はない。タドルクエストの変身音にもある通り「辿る巡る」運命に弄ばれた飛彩、目の前の守るべきものを守るという覚悟を決めた時白騎士は覚醒する!

1号・2号ライダーの最強フォームの並びが見られた時、初めてブレイブを2号ライダーと認める気になれた気がする。見せ方の問題なんでしょうが個人的にはブレイブよりスナイプの方が活躍してる印象だったので…医師としての実力が最も高い飛彩にも実はまだまだ精神面で成長の余地があって、直近の5-6話を使ってその生き様を一気に描いてたんだなぁとようやく気づいた 一年通してじわじわ成長したというより、新しいガシャットを手にする度に文字どおり精神的にレベルアップしていった感じですね。

戦いの後、飛彩が一人変身解除するシーンも良かった…永夢がその場から去るまであえて変身を解かない飛彩。「仮面ライダーが仮面を被る理由」を露骨に魅せてくるッ…だがそれがいいッ…!雨の中流した涙を知る者はいないが、彼が世界一のドクターだということはもはや皆の認めるところでしょう。

大我のこともやっと「花家先生」って呼んだね! 「研修医」「監察医」はともかく「無免許医」呼ばわりは流石に失礼だもんな… 衛生省もいいかげん大我の功績を評価して医師免許再交付とかしてやってもいいんじゃないかなぁ…その辺の事情はスナイプエピソードZEROの方で語られるのかもしれませんが。

死ぬほどかっこよかったムテキとレガシーの並びですが早くも次回でお蔵入りに…?

 

 

(以下、与太話/超スーパーヒーロー大戦のバレを含むので注意)

 

 

 

春映画こと超スーパーヒーロー大戦の実質的な主人公は飛彩(とナーガ)でした。ゲームの世界で飛彩はもう一人の自分、いわば過去への悔恨から生まれた深層心理の具現みたいなものと戦うわけだが、そんなもう一人の飛彩が使うガシャットが他でもないタドルレガシー。春映画と本編の繋がりは今のところ示されてなさそうだし、このガシャットの扱いについて制作側が何を考えていたかは知る由もないが妄想を膨らませる余地くらいはあると思うの

超スーパーヒーロー大戦劇中の事件の中心には天才プログラマー少年エイトくんの存在があり、彼はかつて飛彩の患者だったが「患者のプライベートには関わらない」「患者の望まないオペはしない」飛彩の方針によりゲームの世界に引きこもってしまった そんなエイトくんに寄り添うしもべがもう一人の飛彩。彼が変身するのは「仮面ライダートゥルーブレイブ」でありブレイブではない。トゥルー:Trueとは夏映画のタイトルにも使われている通り「真の、本当の」といった意味の言葉だが変身者はあくまでゲームの世界を生きる鏡像である 本当は患者に寄り添いたい、一人の患者のためなら世界を敵に回せる(本編の大我の言葉を借りるなら「白衣を着てない」)飛彩が本当の姿なんだよ、って意味だと普通は思い至る

ところがトゥルーブレイブは結局ブレイブ・ファンタジーゲーマーに敗北します。ということは飛彩は結局エイトくんを見捨てたのかというとそうではなく、ゲームの世界にしか救いを見出せないもう一人の飛彩の弱さを指摘し(確かそんな感じだった)、過去を反省した上で自分は現実のドクターとしてエイトとしっかり向き合うことを伝えるともう一人の飛彩は大戦を終結させる鍵たるギャラクシアンガシャットを飛彩に託すのでした。

TV本編ではタドルレガシーガシャットの起動には覚悟が必要でした 第36話時点での飛彩にはその覚悟が足りていなかったために変身できなかった。その覚悟とは何だったのか—正宗の言うように「望みのために他を切り捨てる」覚悟だったのか?それでほぼほぼ正しそうだが私が違和感を覚えたのは正宗によるタドルレガシーのゲーム説明を聞いた時でした

「タドルレガシー…勇者と魔王両方の力を手にした主人公が城に幽閉された姫を救うゲーム」

これだけ聞くとタドルレガシーの主人公は何一つ失ってなどいない。このガシャットの使用者は仮面ライダーとバグスター双方の力を手に、望むもの全てを手にすることさえできるようにも思える がTV本編の飛彩は小姫のデータを、春映画のもう一人の飛彩はエイトとの永遠の楽園を、それぞれ失ってしまった

タドルレガシー起動に必要な覚悟とは「守るべきものを守る覚悟」の方が近いのかな、とか思いました それは先の「望みのために他を切り捨てる」とほぼ同じ、というか仮面ライダーにおいてはイコールになってしまいがちなのでどちらも正解かもしれないけど…今回の飛彩だってゲーム中で救うべき「姫」を失っているわけだからゲームの観点からはこの上無くバッドエンドですよね。しかし飛彩にとってはそれでいいのです。上述した檀正宗によるタドルレガシーのゲーム紹介はあくまで正宗の解釈ですから、それにおとなしくしたがっているようでは彼の木偶のまま。飛彩はゲーマーではなくてドクターですからね。

春映画で現実の飛彩に敗れたゲーム世界の飛彩が、現実の飛彩にタドルレガシーではなくギャラクシアンガシャットを渡したのは、タドルレガシーガシャットを使う者が味わう苦しみを知っていたからなのか…或いはあの世界におけるトゥルーブレイブはあくまでエイトの理想の勇者であってエイトを現実に連れ戻すための力にはなりえなかったからなのか…ほんとのところは販促の事情なのかもしれないけどゲームの世界の飛彩もなかなか魅力的なキャラだったので少し思いを馳せてみました

 

以上与太話おわり 超SH大戦は春映画の中ではかなり好きな方ですがあと一歩で名作になれなかったって話はまた今度

 

メルヴ (@mellvit3003) | Twitter