この終わりなき片付けとの格闘記。

ニチアサ感想や日々思ったことを綴っていきます。

仮面ライダーエグゼイド 最終話感想

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心が導く あの場所へ

 

仮面ライダーエグゼイド 最終話(通算45話)「終わりなきGAME」

ムテキゲーマーが何度蹴りを入れようが倒れなかったクロノス=檀正宗をどう攻略するのか。これについて腑に落ちる回答が見られたので嬉しかった。人間もバグスターも超えた存在—ゲームの運営という、仮面ライダーらゲームキャラにとってはまさに「神」に等しいモノ—を倒すには、仮面ライダーの力だけでは足りなかった。仮面ライダーとバグスター、プレイヤーキャラと敵キャラが真に力を合わせてこそ、人智を超えたこの呪われたゲームをクリアできる。仮面ライダーエグゼイドのテーマの一つは「ゲーム」であり、それゆえエグゼイドという物語も一本のゲームのストーリーを追うような目で捉えることができます。様々なプレイヤーとの邂逅、別れ、次第に明らかになる敵の真実、野望・陰謀、主人公の正体—やがて真に倒すべき敵の姿が明らかになり、バラバラだったキャラクターたちが同じ方向を向くようになる。時に裏切られ、レベルの限界に負けそうになっても「患者を救う」という本来の信念は決して曲げなかった。諦めない者に道は拓かれ、気まぐれな神は時に力をくれる。最後の戦いはオープニングムービーに繋がり、最初の戦いと同じ必殺技でフィニッシュ。

RPGのプロットとして申し分なさすぎますね。プロデューサーの大森敬仁・脚本家の高橋悠也(敬称略)両名はスーファミ世代とのことですが、何かの機会にゲームのプロデュースもしてくれないでしょうか?笑 余談ですが、クロノスにトドメを刺すのはレベル1でないならマキシマムゲーマーかと予想してましたが違いましたね。最後まで想像を超えていく脚本でした。

檀正宗が自らに下した審判、それは自らの人生そのものであるゲーム=仮面ライダークロニクルと共に散ることでした。これ、万策尽きてもなお「まだ死にたくない!」と生に執着を見せた檀黎斗とは対照的です。この父子の言動にはそっくりな部分が多かったのですが、やはり「命」に対する向き合い方がはっきりと違っていたのでしょうね。

 永夢が日向審議官に頼み込んで実現させた(?)記者会見で、「エグゼイド」世界の未来が語られます。

「消滅した方々は、『亡くなったように見えるゲーム病に罹っている症状』であると、僕たちは考えています。」

この解釈、思わず唸ってしまいました。そして、「データが命と言えるのか」この、エグゼイドにおける大変重要な問いにも永夢ははっきりと答えます。医療の未来を信じ、ドクターとして戦い続けていくと。ゲーム病と向き合うことを放棄し、消滅者を救うことを諦めてしまったとき、プロトガシャットの中のデータは単なるデータになってしまうでしょう。治療法が見つかっていない今も、それを「命」と呼ぶことは難しいかもしれない。しかし、ドクターたちが見ているのは未来です。

 「どんな逆境でも決して諦めずに立ち向かい、人の命を救う。そんなヒーローに、僕たちは守られている。」

第1話冒頭、永夢のモノローグです。消滅者のゲーム病を根治し、「人の命を救うヒーロー」になれるかどうかは、ドクターたち次第。恐らくドクターたちに、これからの戦いのエンディングは見えていないのでしょう。代わりに、彼らの目には「希望」が映っている。未来に希望を託す…託しっぱなしにせず、より積極的に戦っていくことを誓う、素晴らしい結末だったと思います。

さて、前途多難なドクターたち(と神)ですが、ひとまず彼らの未来には「笑顔」があるようです。大我はゲーム病専門医としての活動を許され、ニコも自分の役割を見つけた様子。飛彩は相変わらず天才外科医ですが、過去と向き合うときの表情は1年前とはまったく違うものです。貴利矢は病理医として、「ドクターでありながら患者」というレアな立ち位置からCRをサポートしていくでしょう。黎斗は自分の才能に惚れっぱなしなので、今までとあまり変わんないか。そんな賑やかなメンバーに囲まれ、研修医としてはあまりに多忙で胃の痛む生活をこれからも強いられるであろう永夢。ゲーム病治療の腕は折り紙付きなので、彼には一番頑張ってもらわなきゃですね!神の助けもあり、ポッピーとパラドの両名も復活しました。彼らがいてこそ、永夢は力を発揮出来るというものです。救急通報は鳴り止むことを知りませんが、もはや何も心配は要りません。なぜなら彼らは、最高の医療チームなのだから。

 

そして、物語は次の世代へ。来週からの仮面ライダービルド、楽しみですね!

 

 

さて。

 

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仮面ライダー」は"悪"とその出自を同じくする。

国内に数多存在するヒーロー番組において、仮面ライダーシリーズが他になく深遠かつ幅広い世界観を演出できるのはこの呪縛が根幹にあるからに他なりません。

「 エグゼイド」では、その"悪"を「命」として尊重し、共に進む道を選択しました。それは一歩違えれば修羅の道。しかし彼らには永い戦いで培った、種族を越えた絆があります。僕は平成ライダーシリーズ最大の魅力とは「ライダーバトル」だと思っています。正義が多様化しすぎた現代においてお互いの正義がぶつかり合う様は僕たちに様々な問いを投げかけてくれるからです。ライダーバトルはプレイヤーの人数に比例して激しさを増します。「龍騎」や「鎧武」といった作品はもちろん大好きなのですが、僕が「エグゼイド」について評価したいのは「ライダーバトルにおいて『チームプレイ』を重視した」ことです。先の2作品や他作品がそれを蔑ろにしていたわけではありません。しかしエグゼイドにおいては、チームで戦うということが番組の2大テーマである「ゲーム」「医療」と深く結びつき、更には"悪"の力をも味方につけることでライダーの歴史に残る熱い共闘展開が数多く生まれました。これについては他作品の追随を許さない部分だと信じています。

 

エグゼイドに会う機会は減ってしまいますが、ドクターというヒーローは僕たちのすぐ側で、今も実際に戦っています。風変わりな見た目の仮面ライダーたちは、ドクターという僕たちの生活に不可欠な存在を浮き彫りにさせてくれたのではないでしょうか。

  

仮面ライダーエグゼイド。これは、かつてないウイルスから患者の命を守るために奔走する、ドクターたちの物語である。

そして、ドクターたちの物語は終わらない。世界からウイルスが無くならない限り、彼らは戦い続けるのだから。

  

番組を最後まで輝かせてくれたスタッフ・キャストの皆様、番組を盛り上げてくれたファンの皆様、クオリティの高い商品で生活に潤いを与えてくれた玩具メーカーの皆様、毎週僕の与太話に付き合ってくれた読者の皆様・友人、フォロワーの皆様、全てに最大の感謝を捧げます。そして敢えて言います。

エグゼイドは、私にとって平成ライダー最高傑作です。

本当に、本当に、ありがとうございました。

 

 

メルヴ (@mellvit3003) | Twitter