この終わりなき片付けとの格闘記。

ニチアサ感想や日々思ったことを綴っていきます。

小説 仮面ライダークウガ

f:id:mellvit:20171122180050j:plain

めっちゃ良かったです。

仮面ライダークウガの続編であり、仮面ライダークウガの世界観で作られた未来型(?)テロのシミュレーション劇です。2013年刊の小説ですが、クウガという物語に漂っていた緊張感はそのままに、形を変えた脅威や精度を増した警察の捜査など、13年という時間の経過を大切にしたまさに「今こそ書けるクウガ」といった仕上がりになっておりました。もちろん本編のネタもところどころで拾われており、要所要所でクウガ視聴時の記憶が呼び起こされるので飽きることがありません。作中の一条刑事と同じように五代の記憶を辿りながら、彼らと共に事件を追跡する疑似体験ができる会心の一冊になっているんじゃないかと。

空気はそこそこ濃密なので夜中とかに一気に読みきってしまうことを薦めます…というか自然とそうなると思います。すぐにとは言いませんがクウガ分が不足してきたなーと感じることがあったらその時が読み頃です。オススメ。

 

ネタバレあり感想↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後半のノリはクウガというよりむしろ平成2期の事件もの(W、ドライブ)に近いように感じました。特に夜の東京を眼下に各所で爆発が起こるシーンなんかはMOVIE大戦CORE(スカルパート)のスパイダー・ドーパントの手口を思い出しましたし。要するに犯罪の規模がデカい

しかしそれもある意味クウガらしい部分なのかなと。時代が変わり犯罪の形も変わればグロンギの手口もより(人間にとって)タチの悪いものとなって蘇り、絵作り(挿絵は無いけど)もまた現代風になる辺りは「A New Hero.」を目指した仮面ライダークウガの精神を忘れていないことの顕れのような気がして嬉しかったですよ。グロンギも人間(リント)も様変わりしたようでいて、それぞれの「理不尽な悪意」「心の闇(弱さ)」という不変のテーマがより浮き彫りにされているところは流石メインライターの荒川さんが執筆されてるだけあるなと。荒川さんといえば脚本担当されたアキバレンジャーのネタが入ってたことに遅れて気付きました

「五代にこれ以上負担をかけたくない」一条さんの志が一貫してたのはいいんですけど、それがことごとく裏目に出てしまってたのがキツかったといえばキツかったです そこが一条さんらしいところでもあるんだけど。ラストバトルでは一条さんの勇気が功を奏したので一応彼の理想は遂げられたと見ることもできますが、作中で同伴していた女性刑事とのアレコレもあって相変わらず報われない人だなぁという印象でした 全体としては。

そしてやはり気になるプロトクウガについては「未確認第二号」の設定を上手く拾ってくれたなと。クウガ本編において二号と四号は色で区別されていたのにクウガがフォームチェンジするようになってからは名称だけ残る形になってしまった二号ことグローイングフォームが前半の要になっていたことで読者としても「おっ」と引き込まれますし、物語的にも巧くハマってたのでここは面白いポイントでした。字のごとく「クウガにおける2号ライダー」と見れるのも構成の妙だなと。

f:id:mellvit:20171122180313j:plain

こことかもう息が詰まりました

 

いやー本当に面白かったです。映像化してほしいという安易な願望が無いわけではないですが、映像化されないことも含めてこの作品の良さな気もします…何言ってんのか分かんねぇ奴は読め!読めばわかる!!多分!!!

この感動を多くの人と分かち合いたいもののどれだけの人の目に触れているのか分からないぶん話題にしづらい作品でもあり、この感動は読んだ人それぞれが胸にしまっておいた方がいいような気もしてみたり…とりあえず素敵な作品であることは間違いないので読んでない人はいつか読もう。読んだ人はクウガを見直そう。ついでにクウガが大活躍するディケイドも見よう。ディケイドはいいぞ。(想像もつかなかったオチ)

 

メルヴ (@mellvit3003) | Twitter